"お茶会"の内容
現在サンデー掲載中のシリーズで、工藤邸にいる工藤優作、工藤有希子、赤井秀一のところに、コナンが電話をかけるという構図がありましたね。
さて、工藤邸で行われたいわゆる"お茶会"について、一度、記事をまとめておきたい、と思いながら本誌掲載から1年半以上が経過してしまったので、勢いで記事を投げときます。
話し合われた内容
前提として、お茶会の場所にコナンはいなかったけれど、お茶会自体は「コナンが仕組んだもの」というのが、個人的な予想です。
①スコッチの死の真相について 説
スコッチの死についての誤解。ロックミュージシャンの事件以降、初めて赤井と降谷が直接対峙しているので、降谷の誤解が解いて、協力体制を築いたのでは?という予想。
何度も取り上げているが、赤井秀一が真相を隠したのには理由がある。これを自ら伝えるようなことはしなさそうだし、スコッチの件について、工藤夫妻は無関係なので、ここでは話されていないと思う。
②ラムについて 説
コナン「RUMって知ってるよね?」
降谷「一体君は…どこからそんな情報を…」
コナンは「優作・有希子から情報を共有しているだろう」と考えれば、コナンがわざわざここでラムについて聞くことはないはず。お茶会ではラムの正体については話されていないと予想できる。
③江戸川コナン=工藤新一について 説
工藤新一の情報を要求する
Time is money!
急げよバーボン
──RUM──
工藤新一の情報
急げ!
Time is money!
──RUM──
降谷は、ラムからこのメールを受けとっている。
降谷が工藤邸に潜入した目的は、
- ラムからの指令
- ラムからの指令を「公安の上司」に報告後、ラムが欲しがっている情報について調査するよう、「公安の上司」 から受けた指令
どちらも考えられるが、いずれにしろ、「工藤新一の情報」を手に入れるため、降谷は工藤邸に潜入したことになる。
そうすると、お茶会では、工藤新一についての探り合いがあったのは確実。
コナン「RUMって知ってるよね?」
降谷「一体君は…どこからそんな情報を…」
しかし、仮に、降谷「江戸川コナン=工藤新一」の情報を共有していたなら、この会話には違和感がある。APTX4869は組織が開発した薬なので、コナンが組織に関わっていることやFBIなどと通じていることも伝わるだろう。
降谷が、江戸川コナンと組織との関わりを知らないということは、「江戸川コナン=工藤新一」も知らないと考えられる。
すなわち、お茶会で「江戸川コナン=工藤新一」は話されていないはず。
さらに、幼児化については、コナン(+工藤夫妻)と赤井秀一の間でさえ、いまだ情報が共有されていない。そのため、赤井秀一もいたお茶会で、降谷にはっきり幼児化のことが話されたとは考えにくいだろう。
④沖矢昴の正体について 説
優作が、わざわざ沖矢と同じ服装をしているので、「沖矢昴」については、何らかのやりとりがあったと考えられる。
優作「今日は以前と違って…お連れの方達はいらっしゃらないようなので…」
安室「……」
優作「ゆっくり妻の淹れた紅茶でも…味わっていってくださいね…」
優作の言う「以前」とは、『緋色シリーズの沖矢昴』である。 『緋色シリーズの沖矢昴』=工藤優作なので、そのまま真実を伝えたことになる。
さて、問題は『通常の沖矢昴』である。
『通常の沖矢昴』=赤井秀一、と伝えたというのが大方の予想だが、工藤優作が、沖矢に変装した時の服装のまま降谷と対面している点が、どうしても引っかかる。
話の流れは、
- 優作が、わざわざ沖矢昴の姿で窓際に立つ
- 顔の変装だけを解き、服装は沖矢昴のまま降谷と対面
優作の意図を考えると(背後にはコナンの意図があるかもしれないが)、明らかに「沖矢昴=工藤優作」を匂わせている。
実際には、『緋色シリーズの沖矢昴』=工藤優作で、『通常の沖矢昴』=赤井秀一だが、降谷には『通常の沖矢昴』=工藤優作を突き通した可能性も否定しきれないのでは、と。
ただし、裏切りシリーズの利き手問題も無視できないので、『通常の沖矢昴』=赤井秀一を明かしていたとして矛盾があるわけではない。
①スコッチの死の真相について → 話していない
②ラムについて → 話していない
③江戸川コナン=工藤新一について → 話していない
④沖矢昴の正体について
→ A説:『緋色の沖矢昴』=『通常の沖矢昴』=工藤優作と明かした
→ B説:『緋色の沖矢昴』=工藤優作,『通常の沖矢昴』と明かした
工藤新一の情報
降谷は「工藤新一の情報」を求めて、工藤邸に潜入している。
「江戸川コナン=工藤新一」を隠し通したなら「行方不明の高校生探偵・工藤新一」に関する情報が伝えられているはず。
ここで、視点を変えて、「コナンはあの場にいなかった」ではなく「コナンはあの場にいてはいけなかった」と考えてみると面白いかもしれない。
あのお茶会で、工藤夫妻と赤井は「工藤新一=江戸川コナン」を悟らせたくなかった。ということは、工藤家と無関係な「毛利家に居候している小学生」がいては怪しまれるだろう。だから、お茶会にコナンはいてはいけなかった。
そして、工藤新一については、
- 工藤新一は死亡した
- 工藤新一は行方不明
- 工藤新一は海外にいる
- 工藤新一はFBIが保護している
などと、工藤夫妻の口から伝えた可能性。
特に「工藤新一は生きているけれど、FBIが保護している」と工藤夫妻から伝えた、というシナリオなら、工藤夫妻と赤井秀一という一見、繋がりのなさそうな3人が工藤邸にいる理由に違和感がなくなる。
伏線はないし、あくまで想像の域を出ないが。
- 修学旅行で余った解毒剤を服用して"工藤新一として"お茶会に参加した
という可能性もあるが、最近の流れでは、何となく、あの解毒剤はメアリーに渡る気がするので、これはナシかな?
黒田と降谷の電話
黒田「それより例の件は…どうなってる?」
降谷「まだ何も…」
黒田「報告を怠るなよ…バーボン」
ポイントは、この電話をしている降谷は、工藤邸での”お茶会”を回想していること。
降谷は報告していない?
「例の件」とは「(組織のNo2ラムが情報を欲しがる)工藤新一の情報を調べろ」という指示だと解釈してみる。
「まだ何も」ということは、降谷は「工藤新一の情報」を話していない可能性がある。
注意したいのは、降谷は「黒田」に報告をしていないのであって、「ラム」への報告は「黒田」による指示の下で「工藤新一は死亡」など、一般人を巻き込まないような情報が報告されるはず。あるいは、「黒田」による指示の下で「工藤新一は生存」と「ラム」に偽の情報を与えて、それを利用して、ラムを逮捕する作戦(=大事の前)を決行するかもしれない。
黒田「大事の前だ…」
なぜ、降谷は黒田に「工藤新一の情報」を報告しないのか。
”お茶会”で、『「工藤新一の情報」は他言無用にしてほしい』と工藤夫妻または赤井秀一に口止めされたからと言って、それに素直に従ったのでは降谷にメリットがない。
降谷「どの道、僕にメリットがないけど…」
『「工藤新一の調査結果」は他言無用にしてほしい』という無理難題に従うだけの降谷のメリットを長らく考えていたが、結局「あの方 =烏丸連耶」という情報の対価、しか思い浮かばなかったので、ここに書いておく。
降谷は『「あの方 =烏丸連耶」で「日本警察の上層部と繋がりがある」』という情報を受け取ったのかも?
コナン側は「あの方=烏丸蓮耶」という最強の切り札を持っている。
本誌連載では休載を挟んでいるが、単行本では前後のシリーズだし、場所も工藤邸ということで、実は前のシリーズからコナン・工藤夫妻・赤井秀一の中では話が繋がっているのではないか。
「例の件」と「まだ何も」がこの解釈で合っているなら、"お茶会"で、工藤夫妻・赤井は「烏丸の情報」を使って、「工藤新一の情報」を求めている降谷と交渉が行われた、という考察ができる。
ただし、そもそも「例の件」と「まだ何も」の解釈によって、"お茶会"と黒田への報告の内容は変わってくるので、この件は、他にも様々な説が考えられると思うけれど。
「バーボン」の意味
黒田が公安の裏理事官だとして、なぜ「報告を怠るなよ…バーボン」と呼んだのか。
この疑問については、
組織内で「バーボン」として手に入れた情報の報告を怠るなよ
という意味で、自分の中では落ち着きました。
NOC(=バーボン)としての任務を遂行し、すべて公安のに報告せよ、と。