名探偵コナン 考察メモ

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赤井秀一の嘘について

(※2016/11/15加筆修正)

(※2017/4/18加筆修正)

(※2017/5/17加筆修正)

(※2018/9/19加筆修正)

 

 

名探偵コナン90巻。

『スコッチの死に関して赤井秀一が安室透についた嘘』について。

昨日、Twitterで呟いてた個人の考え。考察もどき。

とりあえずこの放置ブログにまとめてみる。

 

 

四年前。

あの時点で、赤井(ライ)にはバーボンがNOCだという確信はなかった、として考えていく。

(※組織にいた頃は「疑っていた」という描写のみ)

 

では、なぜ赤井(ライ)は「自分が殺した」と嘘をついたのか?

  • 組織にライとしての手柄を上げたかった
  • 自分もNOCだとバレるのを防ぎたかった

どちらも考えられるけど、伏線や暗示がないのであまりピンとこない。

  • バーボンを守るため

素性の知れない組織の人間のため、とするのは非論理的。

  • スコッチが『自殺』だったことを組織に知られたくなかった

個人的には、これだと思う。

 

 

考察

そもそも、拳銃自殺で、頭ではなく胸を撃つのは不自然だ。

バーボン「拳銃で自殺する場合あなたならどうしますか?」

ベルモット「そうね…銃口をこめかみにあてて…

バーボン「そう弾痕は頭蓋骨にしっかり残る…たとえ遺体が燃えようと…」(以下略)

楠田陸道の死に関するこの二人の会話から、拳銃で自殺するなら、自分で頭部を撃つのが普通だということが分かる。

しかし、スコッチは拳銃を逆手に持って、こめかみではなく、自らの心臓を撃ち抜いた。

スコッチがそうした理由を、胸ポケットに入っていた家族や仲間のデータが入った携帯を壊すためだったと、赤井は結論付けている。

 

赤井(ライ)は、組織の人間が、スコッチ(=自分と同じ潜入捜査官)が最期にとった行動の意図に気付くのを避けたかったんじゃないか。

スコッチが自らの命に紛れさせてまで、本当に葬ろうとしていたもの(=携帯のデータ)に気付かれてしまっては、彼の死が無駄になってしまうから。

 

もし赤井(ライ)の嘘がなければ、あの現場は、NOCの『自殺』現場として違和感だらけ。

  • 使用されたのは赤井(ライ)の拳銃
  • 頭ではなく胸にある銃創
  • 胸ポケットに残された、穴が開き、血まみれの携帯電話

これらは、スコッチが、携帯に入っている情報が流出することは何としても避けたいと動いた結果。

しかし、これではまるで、携帯には命を懸けても組織に知られたくない情報が入っている、と言っているようなものだ。実際、少なくとも携帯には、降谷との最期のメール[通話履歴]が残っていた。

携帯の損傷具合にもよるだろうけど、組織なら調べられるかもしれない。

ましてや、赤井(ライ)視点では、最初に駆け付けたのが聡いバーボン。必ずこの現場に疑問を持つだろう、と。(結局、そのバーボンもNOCだった訳だけど!)

 

でも、ここで、赤井(ライ)がスコッチを撃ったことにすれば、裏切り者への制裁として、NOCの心臓を撃ち抜いた際、『偶然』胸ポケットに入っていた携帯を壊してしまっただけ、に見える。

 

 

スコッチの行動

裏切りシリーズの回想について。スコッチ視点で考える。

 

赤井「さすがだなスコッチ… 俺に投げ飛ばされるフリをして俺の拳銃を抜き取るとは… 命乞いをするわけではないが…俺を撃つ前に話を聞いてみる気はないか?」

スコッチ「け、拳銃は…お前を撃つ為に抜いたんじゃない… こうする…ためだ!!

この時点で、スコッチはライがNOCだと知らない。それなのにスコッチは、拳銃を奪ったのは目の前にいる丸腰になった敵を撃つためではない、と言い切っている。

「こうするため」は具体的にどういうことを言っているんだろう?

言葉のままだと『(拳銃を奪ったのは)自殺するため』だけど、これには『(拳銃を奪ったのは)携帯を壊すため』というスコッチの真の目的が隠れているんじゃないか。

 

赤井「無理だ… リボルバーのシリンダーをつかまれたら…人間の力で引き金(トリガー)を引くのは不可能だよ… 自殺は諦めろスコッチ… お前はここで死ぬべき男ではない…」

スコッチ「何!?」

赤井「俺はFBIから潜入している赤井秀一…お前と同じ奴らに噛み付こうとしている犬だ… さぁ、わかったら拳銃を離して俺の話を聞け… お前1人逃がすぐらい造作もないのだから…」

スコッチ「あ、ああ…」

 

 

赤井の行動

裏切りシリーズの回想について。赤井視点で考えていく。

 

まず、屋上にバーボンが駆けつける直前のコマは、赤井(ライ)がスコッチの携帯を確認してるシーンになっている。

赤井(なるほど…拳銃を奪ったのは…コレを壊す為だったのか…家族や仲間のデータが入っていたであろう…この携帯を…)

流れからすると、バーボンが駆けつける直前のこのモノローグが『赤井がこの直後についた嘘』のキッカケになったと考えられる。

赤井(ライ)はスコッチの最期の行動の意味に気付いた。スコッチの携帯を手に持つ赤井(ライ)の表情が意味深に見える。

 

※ちなみに赤井の言葉にある「家族」は兄:諸伏高明、「仲間」は幼馴染み:降谷零を示唆していることが、後に判明した

 

 

そして、現場を立ち去る時に、赤井(ライ)がバーボンに言った台詞。

赤井「残念なのは…奴の胸のポケットに入った携帯ごとブチ抜いてしまった事…お陰でそいつの身元はわからずじまい…幽霊を殺したようで気味が悪いぜ…」

この言葉が、そのまま『赤井がついた嘘』の真意を示しているとしたら。

『自分がスコッチの携帯を壊してしまったから、スコッチの身元は調べられなくなった。だから、この件に関してこれ以上の深入りは無意味だ』と、組織の人間をけん制している。(結局、相手のバーボンもNOCだった訳だけど!!)

 

 

考察のヒント

コナンでは日常編の中に組織編のヒントが隠されていることがよくある。

 

裏切りシリーズのロックミュージシャンの自殺。自殺を殺人に偽装しようとした元恋人であるマネージャーが、目暮警部の問いにこう答えている。

目暮「しかし何で殺人に見せかける必要が…?」

マネージャー「…自殺したとわかったら、その訳を探られるでしょ?」

この場面は『赤井がついた嘘』の理由を暗示している。

スコッチが自殺だったと組織に知られたら、その「訳」を探られる。赤井はそれを避けたかった。だって、スコッチが自殺した「訳」は、携帯に入っていた家族や仲間のデータを組織に渡さないため、だと知ったから。

だから、「違和感だらけの自殺現場」を「ただの裏切り者の制裁現場」にした。

 

マネージャー「元カノの子供のせいで彼が自殺したなんて彼の家族に知られたら申し訳ないと思って… だ、だから死ぬ直前に彼が送って来た「あばよ」っていうメールの送信履歴が入った彼の携帯を…ポケットから抜き取って彼を天高く…」

この後半の台詞は、マネージャーの女性=赤井秀一(=自殺を隠そうとした人間)に重なる。ミュージシャンの男性=スコッチ(=自殺した人間)の携帯の中身に目を向けられたくなかったことが重なるように描かれている。

 

 

裏切りの結果

ベルモット「公安から潜り込んでて名前を聞く前に殺された…」(緋色シリーズ)

ベルモットがスコッチのことをこう言っていた。

これは作中の時間軸で、あれから四年後のこと。いまだにスコッチの身元は組織にバレていないことが分かる。赤井が咄嗟に真相を隠したことが功を奏している。

つまり、スコッチの本名が明らかになっていないということ自体が、あのとき赤井がついた嘘』の伏線になっている。

 

 

もう一つの疑問

じゃあ、何故今でも隠したままの形になっているのか?

メタ的な視点で言えば、赤井と安室が電話で話した緋色時点ではスコッチのことはまだ描かれていなし、「赤井」と安室としては、それ以降対面してしてないし、などと言い出したらキリがないので止めておく。

これは、赤井には拳銃を奪われたという過失があるからだと思う。

サラッと描かれているけど、捜査官が拳銃を奪われるって重大なミス。実際、赤井が拳銃を奪われなかったら、あの結末にはならなかった。スコッチがそれだけ優秀な捜査官だったってことでもあるのだけど。スコッチは最初から、赤井の拳銃を奪って、自分で胸を撃って、死ぬことを狙っていたのだから。

 

赤井「それと…彼の事は今でも悪かったと思っている…」(緋色シリーズ)

赤井は、スコッチの自殺に関して謝罪した。ということは、自身にミスがあったことを自覚している。自分が拳銃を奪われて、自殺を止められなかったことを詫びてる。

でも、当時、赤井はバーボンもNOCだと知りえなかった。

時は流れて、作中の時間軸で四年後、緋色シリーズで、バーボンの本名が降谷零であり、スコッチと同じ公安だと確信したとき、彼の仲間へ謝罪している。

 

赤井「俺に対する奴の恨みは思った以上に根深いようだ」(緋色シリーズ)

この発言から、赤井の認識について。

  • スコッチとバーボンが幼馴染みだったとは知らない

CIAの本堂親子の例を見ると、親子だろうが親友だろうが、組織ではあくまで「他人」を装っていたんじゃないか。明らかに親しい様子は赤井には見せていなかった。

  • 「赤井がスコッチに拳銃を渡して自決を勧めた」と安室が勘違いしてるとは思ってもみない

これは安室が赤井の「自分が殺した」という嘘を中途半端に見抜いてしまったために起きている誤解。安室視点では、赤井とスコッチの最期の会話を知ることができないので、まさかスコッチのための嘘とは考えつかない。

 

赤井の拳銃と安室の足音。

スコッチのことは最終的に「50:50」に落ち着くんじゃないかな、と。赤井(沖矢)の口癖は、ここまでの伏線。

真相はどうあれ、条件が一つでも欠けていたらあの結末には至らなかったと思うと悲しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「赤井さんが安室さんを守るために嘘を吐いたんだよ!」って解釈があまりピンとこないのでいろいろ考えてみた。優しい嘘というのは個人的にしっくりきてない。

最近Twitterでよく見かける赤安。もちろん作品の楽しみ方は自由なんだけど、 原作未読、「アニメの赤井さんと安室さんが出てる所しか見てないから〜」って呟きにもやもやしたり……。でもまあそれも楽しみ方の一つなんだよなあと思ったり……。

あー、でも、コナンファンとしては原作も手にとってみて……!!繊細な伏線すごいから……!!って思う気持ちも捨てられないんだ。