「浅香」の正体とダイイングメッセージの意味
(※12/12 一部訂正、CARASUMA(烏丸)関連)
17年前、羽田浩司が殺害された事件現場に残されたダイイングメッセージ。
元は「PUT ON MASCARA」と書かれていた手鏡が作為的に割られ、「PTON」という文字だけが残されていた。
コナンと赤井は、「まさか切り取られた文字の方が重要だとは…犯人も…瞬時に…判断する事は…不可能…」と考え、切り取られた文字列「U M A S C A R A」に注目すべき、と推理した。
コナンの推理(RUM = ASACA)
PUT ON MASCARA
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PUT ON MASCARA
↓
RUM ASACA
作中で、コナンは、
(遺体)=羽田浩司が残したダイイングメッセージは、犯人「RUM=ASACA」 を示している
と考えている。
別のシナリオを考える
<前提とする考察>
RUM=羽田浩司の場合、(遺体)=赤井務武なので、ダイイングメッセージは赤井務武が残したものであり、また、RUMと浅香は別人である
と考えられる。
ここから、ダイイングメッセージの意味について考えていこうと思う。
「RUM ASACA」(RUM ≠ ASACA)
浅香(ASACA)が組織の人間だった場合
赤井務武が「RUM ASACA」という文字を残したのは、単純に『RUMと浅香に殺された』という意味のダイイングメッセージ。
※否定的要素
裏切りシリーズで、「ASACA」という新曲を発表しようとしていたロックミュージシャンの元に、組織はバーボンを送り込んでいる。
バーボン「ソレが公になる前に探りを入れて…必要とあらば潰せばいいんですよね?」(裏切りシリーズ)
梓(ベルモット)「でも結局わからずじまいよね? 何でアサカのカが「CA」だったのか…」(裏切りシリーズ)
組織は浅香を探っている立場だということが分かる。 その浅香が組織の人間とは考えにくい。
浅香(ASACA)が組織に潜入中のNOCだった場合
これは、浅香が組織に潜入中のNOCであり、RUMと共にアマンダ暗殺の任務に就いていたという状況を想定。
赤井務武の視点では、先程の浅香が純粋な組織の人間である場合と状況は変わらない。「RUM ASACA」は、単純に『RUM=羽田浩司と浅香に殺された』という意味のダイイングメッセージ。
この場合なら、先に述べた矛盾はクリアできる。組織が、NOCとバレた浅香を狙っているという状況が出来上がる。
※否定的要素
ベルモット「まぁ、これから先、勝手な行動は避けた方がよさそうね…内に鼠が入り込んで来てるって…ジンが問題視していたし…本堂って男とFBIの赤井とあの男で3人目…ホラ、公安から潜り込んでて名前を聞く前に殺された…」(緋色シリーズ)
組織が把握しているNOCは、イーサン本堂(4年前)、赤井秀一(2年前)、スコッチ(4年前)の3人のみ。(時系列は92巻巻末年表)
もし浅香がNOCだったとしても、NOCということを知られず組織を離脱した、という可能性の方が高い。CIAの本堂瑛海が、父親の件がなければ、そうする計画だったように、事故死を偽装する等して。
そうすると、組織内で浅香は死んだことになるので、組織が浅香を追うという現在の状況には至らない。
ただ、浅香の件は17年前のことなので、ベルモットの発言ではノーカウントと言われたらそれまでだけど。
※浅香=若狭留美の場合
また、浅香=若狭留美を想定すると、年齢もネックになる。自称37歳が本当であれば、17年前、彼女は若干20歳。
作中に登場する主な諜報機関の採用年齢。
- CIA・・・不明
- FBI・・・23歳以上
- SIS・・・21歳以上
- 日本警察・・・最短で高卒18歳以上。警察学校や研修期間を考えるとギリギリ。研修を終えたばかりの二十歳の女性が(公安に配属され?)、NOCとして工作中というのは有り得る?
浅香(ASACA)が組織の人間でない場合
「RUM」とともに「ASACA」という名前があるので、少なくとも「ASACA」は赤井務武にとって『悪』のように思える。しかし、先に述べてきたように、組織の人間ではなさそう。NOCである可能性も低い。また、組織以外の悪として現場にいたとするのは少々強引だろう。
次は、浅香の基本情報に戻って、純粋にボディーガードだった可能性を考える。何らかの理由で、浅香は危険が迫っているアマンダの身辺警護の任務に就いていた。しかし、その甲斐なく、アマンダはRUMによって殺害される。浅香の任務は失敗。現場から姿を消したのは、RUMに罪を被せられたからか、或いは、公に出られない『正義側の人間』だったから(どこかの捜査官等)。赤井務武は浅香の素性を知らなかったので、敵と誤認して「ASACA」というダイイングメッセージを残した。
正直、この可能性は否定できない。個人的には、手っ取り早い辻褄合わせのように思えてしまうのだけれど。
「CARASUMA」
これまでの考察は、全て『アナグラムは「RUM ASACA」を示している』という作中のコナンの推理を大前提にしてきた。
ここからは、全く別の視点。もし、このダイイングメッセージの解釈が「RUM ASACA」ではないとしたら……?
PUT ON MASCARA
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PUT ON MASCARA
↓
CARASUMA
赤井務武が意図して残したのは「CARASUMA」だったと考えてみる。
サンデーに掲載された当初からこのアナグラムは何度も考察されている。しかし、このダイイングメッセージを残したのが、RUM=羽田浩司に殺された赤井務武だとすると、その意味は違ってくるかもしれない。
RUM=羽田浩司という仮説内なので、RUM=CARASUMA=烏丸とはならない。
じゃあ、「CARASUMA」はどういう意味なのか。
・あの方=烏丸蓮耶
これは、17年前、赤井務武が「あの方」の正体に辿り着いていたという考察。
彼は、自身が掴んだ組織に関する情報をRUM=羽田浩司に気付かれないよう、ダイイングメッセージとして託した。
個人的には、あの方=烏丸蓮耶説に否定的だけど、この考え方はできると思う。但し、烏丸蓮耶関連の考察は年齢がネック。
・RUM=羽田浩司=烏丸家の血縁者?
務武が「CARASUMA」と残したならば、事件に関わった人物に関することではないか、と疑ってみる。羽田浩司は烏丸家と繋がりがあるという可能性。
但し、読者プレゼント企画のネームノート内で、羽田浩司の両親の名前が既に明らかになっている。
(羽田秀吉の婚姻届)
養夫 羽田康晴 養母 羽田市代 続柄 養子
他の考察サイトさんによると、養父母の名前はどちらも有名な将棋の棋士さんのお名前から取っているそう。 なので、羽田家を烏丸や組織に繋げるのは厳しいかな。
・アマンダ(資産家)=烏丸家(大富豪)の関係者?
これも突拍子のない説。先程と同様、現場に残された「CARASUMA」は、事件に関わった人物に関することではないか、というところから浮かんだ可能性。
但し、作中でこう読み取れる描写はないし、アマンダと烏丸は資産家・大富豪ということしかリンクしていない。
と、結局、全ての説に否定的という意味の分からない考察になってしまった。
一応、以上の考察の中で、ある程度、可能性を期待できそうな仮説は、
- ダイイングメッセージ「RUM ASACA」説 浅香が組織に潜入中のNOCだった場合
- ダイイングメッセージ「RUM ASACA」説 浅香は純ボディーガード、務武の誤認の場合
- ダイイングメッセージ「CARASUMA」説 あの方が烏丸蓮耶の場合
だろうか。
赤井務武が意図した文字列が「RUM ASACA」だったにしろ、「CARASUMA」だったにしろ、辻褄を合わせて、その意味を考えるのは骨が折れそう。
『RUM=羽田浩司であり、遺体は赤井務武、そして、ダイイングメッセージは赤井務武が残したもの』と考える場合は特に、そのダイイングメッセージの意味が重要になると思っているのだけど。
あの方が赤井秀一を恐れる理由
ベルモット「ボ、ボスが…あの方が…我々の銀の弾丸(シルバーブレット)になるかもしれないと恐れているあの男(=赤井)を…」(二元ミステリー)
ジン「あの方が奴(=赤井)の何を恐れているかは知らねえが…」(赤と黒のクラッシュ)
組織視点で、赤と黒のクラッシュまでの赤井秀一を考えると、5年前から2年前まで組織に潜入し、NOCとバレたが組織から逃れて生き延びている男。加えて、700ヤード先から、ジンが構えていたスコープに狙撃を命中させた。1年前のNY編を思い返すと、ベルモットが手を焼いたFBI捜査官。
これらはあの方もジンも共通して知っているはず。「何を恐れているか知らねえ」という言葉から、これらは恐れる理由にならないとジンは考えている。あの方が赤井秀一を必要以上に恐れる理由には、あの方だけ知っている要素があるのでは、と考えることができる。
以前、別の記事でも書いたけど、そこに血縁が関係しているのではないか、と。
- 宮野エレーナの血縁者だから
- メアリー世良の息子だから
- 赤井務武の息子だから
あくまで想像なんだけど、この最後の要素について考える。
あの方が赤井秀一の何を恐れる理由が、
父・赤井務武が組織のNO.2・RUMの片目を奪ったから
という可能性。務武には、何かしら組織を出し抜いた事実があるのだと思う。あの方が、その息子までも恐れてしまうほどに。
又は、あの方本人に直接、影響を与える何かがあったと考えたいなら、それこそ先ほどの考察の、
父・赤井務武があの方の正体に辿り着いたから
というのはどうだろう。これなら、あの方がその息子までも恐れてしまう十分な理由になるはず。