脇田兼則について
脇田兼則については、描かれているシーンが少ないので考察のしようがないと思っていたけど、アニメ放送に便乗して少しだけ書いておきます。
キャラの元ネタとか、推理力とか、毛利小五郎への近づき方とか、アナグラムとか、細かい考察は他の考察サイトさんがされているので。
(※2018/4/13 加筆修正)
馬の名前【92巻・万馬券の行方】
冒頭、テレビで流れる競馬レースの馬の名前。
- ダーケストナイトメア→純黒の悪夢(第20作)
- キッドザサンフラワー→業火の向日葵(第19作)
- パイレーツスピリット→紺碧の棺(第11作)
他の考察サイトさんで指摘されてるように、これらは劇場版のタイトル由来。
ちなみに、アニメでは、この小ネタに乗っかって20作品分。原作で描かれている3作品+最新2作品+第1作~なので、絶海の探偵(第17作)と異次元の狙撃手(第18作)がないのはご愛敬。
脇田の皮肉?【92巻・万馬券の行方】
脇田「しかしお客さんも物好きだねぇ… パイレーツスピリットなんて駄馬に…大金をぶっ込むなんてよォ!」
さて、ポイントは、脇田が「パイレーツスピリット」を「駄馬」と言っていること。
パイレーツスピリット
spirit
主な意味: (肉体・物質に対して人間の霊的な)心、(人体と離れた)霊魂、幽霊、亡霊、(神の)霊、神霊、神、聖霊、(天使・悪魔などの)超自然的存在、(…の性格を持った)人
「劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)」を見ていれば、作品を指すのに「パイレーツスピリット(=海賊の霊魂)」と充てるのは納得といったところか。
蒸溜酒は高温で熱してつくる火の酒であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与える。だからスピリッツというのだろう。
その性質から、(複数形の場合が多いが)spirits=酒という意味がある。
このことから、「パイレーツスピリット」は、海賊の酒という連想ができるかもしれない。
「紺碧の棺」を指した遊び要素に見せかけて、実はダブルミーニング。そもそも、ダーケストナイトメア(第20作)、キッドザサンフラワー(第19作)ときて、パイレーツスピリット(第11作)を使っているのも、深読みしてみると違和感がある。しかも「紺碧の棺」は、伝説の女海賊が物語の鍵となっている作品だ。
以前から何度と言っているRUM=羽田浩司説。この考察の中で注目していた台詞。
コナン「(ラムについて)酒の名前だよ!よく海賊とかが飲んでる…」【86巻】
「パイレーツスピリット」は、よく海賊が飲んでる酒(=ラム)を連想させるワードのように思える。
また、先ほど挙げたように、スピリットには「幽霊、亡霊」という意味がある。死んだフリをしている人間を指し示すのに使われているなら、本当によく考え抜かれた言葉遊びではないだろうか。
駄馬
RUM=羽田浩司説では、「馬」というワードを深読みしておきたい。将棋で「馬」といえば、「角行(一般に角)」の成り駒「竜馬(一般に馬)」。
サンデー連載休止前の最新話File1008で、パソコンに向かう若狭留美の机の上に置かれていたのが、この駒である。
この記事で考察したように、RUM=羽田浩司であれば羽田と若狭が恋仲だったという可能性はかなり低くなる。なので、キャンプで若狭が表情を豹変させ、将棋の駒を握りしめた理由は、RUM=羽田浩司本人への恨み、という方向で考えたい。
そして、ここからは仮説だけれど、「馬」が将棋士・羽田浩司の代名詞だったりすると面白いなあ、と。
どういうことかと言うと、現役棋士の羽生善治永世七冠を例に挙げる。羽生さんは、「伝説の5二銀」「歴史的妙手6六銀」「天才の詰み8六銀」等、「銀」で数々の伝説を作っている。
現役時代の羽田浩司にもそういった駒があり、それが「馬」で、彼の象徴のような物なのではないだろうか。
将棋の駒を持ち続ける若狭の怒りや執着のような行動にも通じるし、脇田の言葉にも繋がる。
つまり、
脇田「しかしお客さんも物好きだねぇ… パイレーツスピリットなんて駄馬に…大金をぶっ込むなんてよォ!」
「パイレーツスピリット」→海賊の酒→RUMを指し、それをRUM=羽田浩司の代名詞に掛けて「駄馬」と貶している。そう考えれば、とても興味深い発言である。まるで、脇田の皮肉。
この解釈では、脇田は組織の敵。すなわち、正義側の人間ではないか、という考えに行きつく。